親や親族から不動産を相続した後、誰も住んでいない「空家」がそのままになっているケースは少なくありません。空家は資産であると同時に、管理負担や維持費のかかる課題でもあります。放置すれば資産価値は下がり、処分や売却の難易度も上がります。
この状況を打開するには、早めの相続登記と、建物の状態確認のためのインスペクションが鍵になります。今回は、空家売却を成功に導く実践的なステップをご紹介します。
相続した空家、すぐには売れない理由
不動産を相続しても、すぐに売却できるわけではありません。まず必要なのが「相続登記」、つまり不動産の名義変更です。
2024年からは相続登記が義務化され、3年以内に申請しなければ最大10万円の過料が発生することも。名義が変わっていなければ、売却契約はできませんし、解体や活用もできません。
相続登記を済ませることで、売却への準備がスタートします。書類の整備や手続きは司法書士に依頼することで負担を軽減できます。
インスペクションで空家の「見えないリスク」を把握
空家売却において見落とされがちなのが、建物の内部状態の把握です。築古や長期放置された物件では、劣化や損傷が進んでいる可能性があります。
その状態を調査するのが「インスペクション(建物状況調査)」。専門家が建物を診断し、以下のような項目をチェックします。
- 屋根や外壁の損傷
- 建物の傾きや沈み
- 給排水・電気設備の不具合
- シロアリや雨漏りの痕跡
調査結果を買主に提示できれば、信頼性の高い物件として評価され、トラブルも防ぎやすくなります。
空家の売りやすさは準備で変わる
空家を売却するためには、登記や診断の他にも実務的な準備が大切です。
- 敷地や建物の清掃
→ 外観の印象で購買意欲が左右されます。 - 最低限の補修
→ 高額なリフォームより、費用対効果のある修繕が有効です。 - 売却方針の見極め
→ 古家付きで売るか、更地にして売るかを専門家と相談しましょう。
こうした準備を整えることで、買い手がつきやすく、価格交渉も優位に進められます。
売却前に押さえておく税金と分配の知識
不動産相続には、譲渡所得税や固定資産税の問題も関係します。たとえば相続後3年以内の売却では、税控除の特例が適用されるケースもあります。
相続人が複数いる場合には、売却益の分配方法も決めておく必要があります。話し合いがまとまらない場合に備えて、弁護士や税理士のサポートを得るのも有効です。
売却成功のカギは「整える力」
不動産を相続したあと、「空家をどうするか」は大きな判断を要します。相続登記とインスペクションの実施、そして計画的な準備が、スムーズな売却と納得できる結果を生み出すカギになります。
「何から始めればいいかわからない」という方は、売却実績の高い不動産会社に相談するのがおすすめです。