空家を相続したものの、「どうすればよいかわからない」「売却できるか不安」という声は少なくありません。特に築年数の古い住宅や、長期間放置された物件は、見た目や設備の状態が気になり、買主の不安材料となりやすい傾向があります。
こうした課題を解消する手段のひとつが、インスペクション(建物状況調査)の活用です。この記事では、不動産相続、空家処分、空家売却、インスペクション、相続登記といったキーワードを軸に、売却成功の視点と注意点を解説します。
空家売却におけるインスペクションとは?
インスペクションとは、建築士などの有資格者が行う建物の健康診断です。目視や簡易測定によって、住宅の劣化や不具合を評価し、現状報告書としてまとめます。
確認される主な項目は以下のとおりです。
- 外壁や屋根の破損・劣化状況
- 床や柱の傾き、構造の安定性
- 給排水・電気設備の状態
- シロアリ・湿気・カビの兆候
これにより「どこを直せばよいか」「補修費用の目安」が明確になり、買主との交渉材料にもなるのです。
インスペクションを行うメリット
- 買主に安心感を与えられる
空家の購入を検討する人は、「見えないトラブルがあるのでは?」と慎重になります。インスペクション結果を提示すれば、物件への信頼性が高まり、交渉もスムーズに進みやすくなります。
- トラブル防止につながる
売却後に「雨漏りがあった」「基礎にひびがあった」などと指摘され、トラブルになるケースもあります。事前に調査すれば、売却後のクレームを未然に防げます。
- 適切な売却戦略が立てられる
調査結果をもとに「リフォームして高く売る」「現状のまま安く売却する」といった判断ができます。費用対効果を見極める材料としても有効です。
注意点と活用時のポイント
インスペクションは有効なツールですが、以下の点に注意しましょう。
費用は自己負担
費用は数万円〜十数万円程度で、売主の自己負担が一般的です。ただし、信頼性の向上や早期売却に貢献するなら、十分に費用対効果が見込めます。
調査内容の限界
非破壊調査のため、壁の内部や構造の奥までは確認できません。あらかじめ買主にその点を説明しておくと安心です。
結果の伝え方が重要
調査結果にマイナス要素があっても、その後の対応策も併せて提示することで、信頼を損なわずに済みます。
相続登記を済ませてからが本格的なスタート
インスペクションを活用する前提として、まずは相続登記を完了しておきましょう。不動産を売却するには名義変更が必須です。
2024年からは相続登記が義務化されており、3年以内に行わないと**過料(最大10万円)**の対象になる可能性もあります。
登記が完了すれば、物件の状況把握や売却戦略をスムーズに進められます。
まとめ:インスペクションは空家売却の強い味方
空家は放置すれば資産価値が下がりますが、整えれば「売れる物件」に変わります。
インスペクションで物件の状態を可視化することは、信頼性向上・トラブル防止・売却価格の判断といった多くのメリットにつながります。
相続登記を終えたら、インスペクションを活用し、戦略的に空家を売却しましょう。不安な点があれば、不動産会社や建築士などの専門家に相談することをおすすめします。