近年、親や親族からの不動産相続にともなう「空家」の管理や活用に悩む方が増えています。突然相続人となったものの、「まず何から始めればよいのかわからない」という声は少なくありません。
特に重要となるのが、相続登記と、相続後の不動産の価値と状態を見極めるためのインスペクション(建物状況調査)です。この記事では、空家の処分や売却を検討している方に向けて、登記の基本から建物診断の活用術まで、実践的な流れをわかりやすく解説します。
相続登記は「義務化」で他人事ではない時代へ
2024年4月から、相続登記の申請が義務化されました。これにより、不動産を相続したのに登記を放置していた場合、最大10万円の過料(罰金)が科される可能性があります。
登記には、以下の書類が必要です。
•被相続人の戸籍謄本
•相続人全員の戸籍・住民票
•遺産分割協議書または遺言書
•登録免許税(固定資産評価額に応じた費用)
手続きは司法書士へ依頼することもできますが、名義変更は空家処分や売却の出発点であり、まず着手すべきステップです。
相続不動産の価値を見極める「インスペクション」
登記を終えたら、次に検討したいのがインスペクション(建物状況調査)です。
住宅の劣化や不具合を把握するための専門的な調査で、物件の活用や売却の判断材料になります。
相続物件は、築年数が古く、長く空家だった場合も多いため、見えない部分で劣化が進んでいることも。
インスペクションでは以下をチェックします。
•屋根・外壁のひび割れや劣化
•床や壁の傾き
•給排水・電気設備の状態
•シロアリ被害や湿気の痕跡
調査結果があれば、「修繕して売却」か「更地にして処分」かといった判断が明確になります。
空家売却・処分の判断材料としても有効
インスペクションは、売却時の信頼性向上にも役立ちます。中古住宅を検討する買主は、物件の状態に不安を感じやすいため、診断結果の提示は安心材料となります。
また、状況によっては簡易的な修繕で済む場合もあり、不要なリフォーム費を避けることにもつながります。建物の状態が悪ければ、解体して土地として売却する選択肢も検討できます。
こうした判断を下すためにも、専門的な調査を事前に行っておく価値は非常に高いといえます。
トラブル回避と円滑な活用のために
不動産相続では、相続人同士で意見が分かれることもあります。そんなときに、登記情報や建物診断の結果という客観的なデータがあれば、話し合いを進めやすくなります。
売却後の代金分配や税金の処理にも関わるため、早い段階で専門家のアドバイスを受けることが、後々のトラブル防止につながります。
まとめ:相続登記と建物診断が「次の一手」を決める鍵
不動産相続では、登記によって所有者としての立場を明確にし、建物の状況を把握することで初めて、空家の有効活用や売却の検討が現実的になります。
放置して時間が経つほど、資産価値が下がる可能性もあるため、相続直後からの行動が重要です。
「何から始めればよいか分からない」という方は、相続から売却まで、一貫してサポート可能な当社にご相談ください。