リースバックと任意売却の違い

経済状況の悪化や高齢者のニーズなどさまざまな要因から、近年「リースバック」が注目を集めています。リースバックは自宅を活用した資金調達方法の一つですが、他にも「任意売却」という方法があります。
今回は両者の概要や違いについて解説します。

 

■リースバックとは

「リースバック」とは、リースバックサービスを提供している不動産会社に自宅を売却した後、その会社と賃貸借契約を結ぶことで、そのまま自宅に住み続けられるという方法です。自宅を売却することでまとまった資金が調達できるため、老後の生活資金や住宅ローンの返済などに充てることができます。住み慣れた家に賃貸として住み続けることができるので、引っ越す必要がなく生活環境の変化も最小限に抑えられるでしょう。
一方で、売却価格が相場よりも安くなりやすいという側面もあります。住宅ローンの支払いは無くなりますが、毎月の家賃が発生します。家賃はリースバックでの売却額に応じて算出されるため、相場より高くなることも少なくありません。

■任意売却とは

「任意売却」は、住宅ローンの返済が難しくなった場合、金融機関に相談し承諾を得たうえで不動産を売却し、その代金で住宅ローンの残債を返済する方法です。住宅ローンの返済が滞ると、担保として不動産が差し押さえられ「競売」にかけられることがあります。
競売に比べ任意売却は相場に近い売却価格になることが多く、引渡し日など所有者の意向が反映されやすいメリットがあります。
しかし、先述のように任意売却には金融機関の同意が必要であり、住宅ローンの残債が多いなどさまざまな理由によって同意が得られない可能性も否定できません。

■リースバックと任意売却の違い

「自宅を売却する」という点では類似しているリースバックと任意売却ですが、その違いはどこにあるのでしょうか。

・利用する目的

リースバックと任意売却の違いとして大きいのは「なぜ利用するのか」という点です。リースバックはまとまった資金の調達と売却後も自宅に住み続けることを目的とする場合が多く、任意売却は住宅ローンの返済や競売回避などの目的が考えられます。

・売却価格

一般的に任意売却は相場に近い価格で売却されることが多いのですが、リースバックでの売却価格は相場より2割~3割程度安くなる傾向です。要因としては、不動産会社が買い取り後に自由に販売できないこと、借主が家賃を滞納するリスクの考慮などが考えられます。

・売却後の居住

リースバックの最大の特徴でもある「売却後も住み続けられる」という点は、任意売却と大きく異なるポイントでしょう。任意売却では基本的に、売却した後は転居することが多いです。

リースバックと任意売却にはそれぞれにメリットとデメリットがあり、どちらを利用すればよいかは自宅を売却する理由や状況によっても異なります。
また、任意売却とリースバックを併用する形もあります。まずは、リースバックや任意売却を取り扱っている不動産会社に相談してみると良いでしょう。