不動産の共有名義について さまざまな事例を詳しく解説

不動産の「共有名義」とは、ひとつの不動産を複数人で所有することをいいます。
共有名義を利用にはさまざまなケースがあります。注意点も含め、詳しく説明します。


■夫婦で共有名義にする

夫婦で新居を購入する際に、二人の共有名義とするケースがあります。夫婦がそれぞれ住宅ローン組む「ペアローン」や、収入を合算し夫婦が主債務者(契約者)と連帯債務者になり住宅ローンを返済する「連帯債務型」があり、それらを利用した場合、原則的に不動産は共有名義となります。
単独で住宅ローンを組むよりも借入総額が高くなるため予算が増える、夫婦それぞれが住宅ローン控除を受けられる、といった点がメリットといえるでしょう。
しかし、病気やリストラ、出産や育児など、どちらかの収入が減り返済が厳しくなることもあり得ます。また、離婚するときにトラブルになることも少なくありません。

■親子で共有名義にする

親子で共有名義にして不動産を取得するケースもあり、二世帯住宅を購入する際に選択する方が多いかもしれません。
先述の「ペアローン」は親子で利用することもできます。ほかにも親から子へ返済を引き継ぐ「リレーローン」という方法もあります。収入を合算でき、返済期間を長めに設定できるので、一般住宅に比べ高額になることが多い二世帯住宅の予算を確保することができるでしょう。
ただし、親が亡くなると親の持分は相続の対象となります。自分のほかにも相続人がいる場合は、権利関係が複雑化することも考えておく必要があります。

■兄弟(姉妹)で共有名義にする

兄弟(姉妹)で共有名義にする状況として最も多いのは、親から不動産を相続するときです。
遺言書や遺産分割協議によって相続人または分割方法がなかなか決まらず、最終的に兄弟(姉妹)での共有名義にしたということも多々あります。相続した不動産の所有者を変更する「相続登記」が2024年から義務化となり、申請期限が「3年以内」となったため、共有名義を選択するケースは今後増えるかもしれません。
しかし、共有者が多いと意見もまとまりにくくなり、不動産の活用方法についても思うように進められない可能性もあります。また、兄弟(姉妹)が亡くなれば、配偶者や子どもが持分を相続することになるでしょう。相続者が遠方に住んでいる、連絡が取れない、という状況も考えられ、後々トラブルに発展する恐れもあります。

不動産を共有名義にする理由にはさまざまなことが考えられますが、必ずしも共有名義が向いているとは限りません。状況や生活スタイルの変化もあるでしょう。注意点も含め長期的な視点で検討することが重要です。不安に感じるときは、専門家に相談してみるのも良いでしょう。