遺産分割での不動産の評価方法

親や親族が亡くなり遺産の相続が発生した際、その中に自宅などの不動産が含まれることも多いでしょう。
不動産は預貯金と違い分割が難しく評価方法も複数あるため、遺産分割協議の場でトラブルの原因となることも少なくありません。
そこで今回は、不動産の評価方法について解説します。

 

 

■不動産の評価方法

不動産の評価方法にはいくつかの種類があり、遺産分割においてどの評価方法を用いるかは相続人同士の間で決めることができます。主な評価方法は次の5つです。

・実勢価格(時価)

実勢価格とは実際の市場価格であり、遺産分割で一般的によく用いられる評価方法です。
他の評価方法よりも価格が高くなる傾向にあります。
不動産会社に査定を依頼し実勢価格を確認すると良いでしょう。その際に複数の不動産会社に査定を依頼するとより正確性が増します。
国土交通省が提供している「不動産情報ライブラリ」では、地域や時期などの条件を設定すれば該当不動産と類似の不動産取引価格を調べることができるため、そちらを活用してみるのもいいかもしれません。

・相続税評価額

相続税評価額は、相続税を算出するために用いられる評価額です。不動産の種類によって計算方法が異なります。土地の評価には路線価を使用する「路線価方式」と評価倍率を使用する「倍率方式」の2種類があり、それぞれに国税庁のHPで調べることができます。
建物の評価には、固定資産税評価額を用います。一般的には実勢価格の7~8割程度となることが多いです。

・固定資産税評価額

固定資産税評価額は固定資産税を算出する際に用いられる評価額で、不動産の所在する市町村が評価を行います。固定資産税の他にも、不動産取得税や登録免許税などの計算にも使用されます。
固定資産税評価額は、毎年市町村から送付される固定資産税課税明細書を確認するか、市区町村役場で固定資産課税台帳を閲覧し調べることも可能です。
固定資産税評価額の見直しは3年に1度のため、直近の価格変動が反映されにくい側面もあります。

・公示地価

公示地価とは、国土交通省が毎年発表している土地価格のことです。不動産鑑定士の鑑定・評価を基に算出された公的な価格で、先述の相続税評価額や固定資産税評価額の基準にもなります。
しかし、全国にある標準地のみの設定で個別の土地ごとには対応していません。あくまでも参考程度と捉えておきましょう。

 

不動産の相続にはさまざまな手続きが必要です。その中で遺産分割の協議を行うのは大変なことでしょう。不動産は金額が大きいため、評価方法によって価格が大きく変わる可能性もあります。
相続人同士がしっかりと話し合うことが何よりも大切ですが、意見がまとまらない場合は司法書士などの専門家に相談してみるのもいいかもしれません。