「不動産の相続」と聞くと、複雑でわかりにくいイメージを持つ方も多いのではないでしょうか。
実際、不動産を相続する際はさまざまな手続きが必要になります。あらかじめ知識を深めておくことで、もしもの時に慌てることなくスムーズに手続きを進めることができるでしょう。
今回は不動産を相続する際の基本的な流れについて解説します。
■不動産を相続する際の流れ
相続の状況によって多少異なる点はありますが、全体的な流れは以下のようになります。
・遺言書の確認
不動産の所有者が亡くなり相続が発生したら、まず遺言書の有無を確認しましょう。遺言書があれば基本的にその内容に従って進めることになるため、遺言書は相続の流れを左右するとても重要な存在といえます。遺言書にはいくつかの種類がありますが、家庭裁判所による「検認」が必要な場合があります。遺言書があったからといって勝手に開封しないように注意しましょう。
・相続人の確定
遺言書がない場合は、基本的に民法で定められた「法定相続人」が財産を相続します。
主な法定相続人は故人の配偶者や子どもですが、いない場合は故人の親や兄弟となります。相続の手続き後に新たな相続人が見つかりトラブルになる―ケースもあります。故人の戸籍謄本を確認し、相続人の有無を調べると良いでしょう。
・相続財産の確認
故人が遺した財産を確認し、必要であれば財産目録を作成することも相続の手続きを進めるうえで有効です。不動産の有無については、権利証(登記識別情報通知)や市区町村から送付される固定資産税の納税通知書などを確認しましょう。不動産評価額の算出には多くの場合、固定資産税評価額が用いられます。
・遺産分割協議
相続する“人”と相続する“財産”が分かったら、誰が何を相続するか協議を行うことになります。
不動産は現金と違い簡単に分けることができないため、分割方法など意見がまとまらず時間がかかる可能性もあります。相続内容についてすべての相続人の合意が得られれば、遺産分割協議書を作成し相続人全員が署名捺印します。
・相続登記の申請
不動産を相続することが決まったら、所有者の名義変更(相続登記)を行う必要があります。相続登記は2024(令和6)年4月1日から義務化されました。
不動産の売却や活用には所有者の変更は不可欠のため、早めに手続きをしておくと良いでしょう。
・相続税の申告・納付
相続税の申告・納付は、相続開始を知った日の翌日から10か月以内に税務署にて行わなければなりません。期限内に申告・納付をしないと延滞税がかかることもあるので、早めに手続きをしておきましょう。
不動産を相続する際には、多くの書類や時間を要します。必要な書類や行う手続きは相続の状況によっても異なるため、不安な方は専門家に相談してみるのもおすすめです。