成年後見人制度のデメリットとは?

成年後見人制度にはたくさんのメリットがありますが、その一方でデメリットがあることも忘れてはいけません。今回は成年後見人制度のデメリットについて見ていきましょう。

■手続きに手間と費用がかかる

成年後見人制度を活用するためには、支援を受ける本人や配偶者、子どもなどの親族が家庭裁判所へ申立てを行う必要があります。その際に、本人の戸籍謄本や住民票、診断書の提出が求められるため、それらを取得する手間や費用がかかります。申立てにも費用がかかり、家庭裁判所から鑑定が必要と判断された場合は、さらに5万円から10万円程度が加わります。手続きに不安を感じる方や忙しい方などは専門家に依頼することもあるかと思いますが、その際には10万円〜30万円くらいの費用がかかると考えられます。費用や時間がかかることは、本人にとっても後見人にとっても決して軽くはない負担といえるでしょう。

■成年後見人への報酬が発生する

成年後見人を付けると、報酬が発生することがあります。支援を受ける本人が選ぶ任意後見人の報酬は当事者間で決めることができ、家庭裁判所が選ぶ法定後見人の報酬は、家庭裁判所に報酬付与の申立てを行うことで金額が決まります。どちらも基本報酬の相場は0円~6万円程度で、管理する財産の額によっても変わります。何らかの特別な行為をした場合、付加報酬の支払いが生じることもあります。報酬額は弁護士や司法書士など後見人によっても異なりますが、家族が後見人になる場合は無償なことも少なくありません。毎月一定額のコストを本人が支払わなければならないため、大きなデメリットとなります。

■制度の利用を途中でやめることはできない

こちらもデメリットとして多く聞かれますが、一度成年後見人制度を利用し後見人が選ばれると、原則として制度の利用を途中でやめることはできません。本人の判断能力が回復したと認められる場合など例外もありますが、あまり現実的とはいえないでしょう。後見人に選ばれた方は、やむを得ない理由がない限り、本人が亡くなるまでずっと後見人を続けなくてはなりません。時間の制約や精神的なストレスなど、後見人には大きな負担がかかることも考えられます。また、先述のように後見人には報酬が発生するため、長期になれば支援を受ける本人の経済的負担も大きくなるでしょう。

成年後見人制度は、支援を受ける本人の安全や生活を保護するうえでとても有効な制度ですが、デメリットと感じる部分もあります。人それぞれに家族構成や状況が異なるため、メリットとデメリットを十分に理解し、検討することが大切です。本人や家族の負担が少しでも軽くなるような活用が望ましいですね。