成年後見人制度のメリットとは?

高齢化が進む中、「成年後見人制度」の活用をお考えの方も多いのではないでしょうか。成年後見人制度は、認知症や障害などの理由で判断能力が不十分な方を保護し、サポートする制度です。手続が難しそうに思うかもしれませんが、さまざまなメリットがあり、症状がある方にとっても、家族にとっても有効な制度です。成年後見人制度を適切に活用するためにも、まずはメリットを確認しておきましょう。

■預貯金などの財産管理ができる

認知症などにより判断能力が低下すると、銀行窓口での手続きが難しくなったり、必要な支払いを忘れてしまうことがあります。また、適切な判断ができずに漫然と使い込んでしまうことも考えられます。成年後見人を選定しておけば、本人が窓口に行かなくても預貯金の入出金を行うことができ、無用な使い込みも防げます。また、成年後見人がいることで、他の親族による預貯金の使い込みを防ぐこともできるでしょう。本人の大切な財産を守ることは、今後の生活を守ることにも繋がります。

■不利益な契約の取り消しができる

判断能力が十分でないために、詐欺などの悪質な契約と気付かず締結させられてしまったというケースも、実際に少なくありません。本来は契約を取り消すことができるのは本人ですが、成年後見人制度を活用することにより、後見人が不当な契約の取り消しを行うことができ、代金の返還を求めることも可能です。通常の契約であっても、本人に不利益が生じる可能性があると判断できれば、その契約を取消すこともできます。トラブルを最小限に止められることは、大きなメリットといえるでしょう。

■さまざまな手続きや契約の代行ができる

日常生活の中には、さまざまな手続きや契約が行う場面があります。本人の判断能力が低下していると、手続きに手間取ったり、契約内容を理解するのに時間がかかることもあるでしょう。契約を交わす相手側も、不安に感じることがあるかもしれません。成年後見人がいれば、契約などの手続きを代理で行うことができます。施設への入所や介護サービスの申し込み、不動産の売却など、本人の生活に関わる重要な手続きも、後見人によってスムーズに進めることができるでしょう。

成年後見人制度は、判断能力が十分でない方の援助者として後見人を選定することで、本人の心身や生活を保護し、本人らしい暮らしが送れるようにサポートする、という考えのもとで設けられています。成年後見人により、さまざまなトラブルを防ぎ、物事を円滑に進められるようになるでしょう。ただし、本人の意思や決定を尊重するということも忘れてはなりません。成年後見人制度の活用は、本人の思いや状況などを考慮し、慎重に検討することが大切です。