親や親族からマンション(共同住宅)を相続した際、売却を検討する方も多いと思います。
理由は「活用する予定がない」「維持費がかかる」「遺産分割のため」など、さまざまなことが考えられますが、相続したマンションを売却すると税金が発生することも念頭に置いておかなければいけません。今回はマンションの売却にかかる税金ついて解説します。
■相続したマンションの売却時にかかる税金
相続したマンションを売却するときに、課税される可能性がある主な税金は次のとおりです。
〇登録免許税
相続したマンションを売却するためには、まず所有者の名義変更を行わなくてはなりません。その際にかかるのが「登録免許税」です。法務局で相続登記の手続きを行い、登録免許税を納めます。課税の標準となるものは固定資産課税評価額で、その1,000分の4(0.4%)が登録免許税となります。
固定資産課税評価額は、毎年市町村役場から通知される固定資産課税明細書で確認できます。
また、住宅ローンを組む際に金融機関等によって「抵当権」が付けられている場合は、外してもらわなくてはなりません。そのため、法務局にて抵当権抹消登記の手続きを行う必要があり、不動産1物件につき1,000円の登録免許税がかかります。
〇譲渡所得税等
マンションの売却によって得た収入から、取得費や譲渡にかかる費用を差し引いた利益を譲渡所得といいます。この譲渡所得に対し、国税である「所得税(譲渡所得税)」と地方税である「住民税」が課せられます。
令和19(2037)年までは、国税の「復興特別所得税」も含まれ、基準所得税額の2.1%を所得税とあわせて納付することになっています。所得税(譲渡所得税)と住民税の税率はマンションの所有期間によって変わり、5年以下では税率が高くなります。所有期間が5年を超える場合でも税率は約20%なので、大きな金額が必要となります。
〇印紙税
「印紙税」とは、不動産の売買契約書や領収書などの文書に対しかかる税金のことです。印紙税額は契約金額によって異なります。対象となる文書に該当金額の収入印紙を貼付し、消印を押すことによって納税となります。
不動産の譲渡に関する契約書については、令和9年3月31日まで印紙税の軽減措置が設けられているため、税率が引き下げられています。
不動産は金額が大きいため、発生する税金も大きな金額となります。相続したマンションの売却には、税金以外にも仲介手数料などさまざまな費用がかかることもあります。
そこで、少しでも経済的な負担を軽減するため、控除や特例の制度が用意されています。適用となる要件はそれぞれ異なるため事前にしっかりと確認し、積極的に活用しましょう。