任意売却とは?通常売却や競売との違いを解説

住宅を購入する際、多くの方が住宅ローンを利用すると思います。じっくり検討し返済計画を立てたとしても、失業や病気など予期しないことが起こり、月々の返済が難しくなることもあるでしょう。そのような事態になった場合、打開策の一つとして不動産の「任意売却」という方法があります。今回は、任意売却の概要や他の売却方法との違いなどを解説します。

■任意売却とは

任意売却とは、住宅ローンを滞納していたり、住宅の売却金額では相殺できないほどローン残高が多い状態で、借入先の金融機関(債権者)と話し合い了承を得て住宅を売却することです。ローンを組んで住宅を購入する際、万が一返済が滞った場合に備え、金融機関によって抵当権が設定されます。通常は、この抵当権を抹消しなければ住宅の引渡しができないため、住宅の売却を行う際は、住宅ローンの完済もしくは売却金額によって完済できる見込みが立っていなければなりません。しかし、さまざまな理由により返済が滞るような状態ではどちらも難しいでしょう。任意売却は、金融機関に相談し同意を得ることで住宅への抵当権を外してもらうことができ、売却が可能となります。もちろん、どのような場合でも任意売却ができるというわけではありません。税金の滞納により住宅が自治体などから差し押さえられている場合、マンションの管理費や修繕積立金の滞納が多い場合などは任意売却できない可能性が高くなります。また、住宅ローンを返済した期間が短い、返済できない要因が一時的なもので今後支払い能力の回復が見込まれるケースなどは、金融機関の同意が得られないこともあります。

■通常売却や競売との違いは?

住宅を売却方法として、任意売却以外にも「通常売却」と「競売」があります。それぞれの違いについて見ていきましょう。

・通常売却
通常売却は一般的に多く利用されている売却方法で、最も自由度が高いことが特徴です。転勤や子どもの独立などライフスタイルの変化に伴い、売主の好きな時期に売却活動を始めることができます。任意売却では売却価格を決めるのは金融機関ですが、通常売却では売主が自由に設定することができます。任意売却にはタイムリミットがありますが、通常売却の場合売却活動を行う期間や売るかどうかの決定も売主の意思に委ねられます。

・競売
住宅ローンの返済が困難な場合、債権者である金融機関は抵当権を使い、「競売」という法的手段にて住宅を売却することができます。返済が滞った場合に取られる手段としては同様ですが、競売は裁判所によって強制的に進められる点で、任意売却とは大きく異なります。任意売却と競売は並行して行われるのが一般的です。競売では相場よりも低い金額で売却されることが多いため、競売の手続き開始までの間に少しでも良い条件で任意売却できるよう行動することが重要になります。先述にて任意売却にはタイムリミットがあるとしたのはそのためです。

住宅ローンの返済が困難になることは誰にでも起こり得ます。厳しい状況だからといって、返済を滞納することはいいことではありません。まずは状況を整理し、不動産会社や金融機関など専門家に相談してみると良いでしょう。