相続財産に不動産が含まれている場合、住宅ローンが残っていることがあります。このようなケースで、相続人がローンの返済を続けられない場合、最悪の事態として差押えや競売のリスクが生じます。
本コラムでは、相続財産に含まれる不動産を守るために知っておくべき住宅ローン問題と、解決策としての任意売却について解説します。
住宅ローン延滞による差押えと競売のリスク
住宅ローンを延滞すると、金融機関から支払い督促が届きます。これを無視していると、延滞が長期化し、最終的に不動産が差押えられます。その後、物件は競売にかけられますが、競売での売却価格は市場価格よりも低くなることが一般的です。
結果として、売却後にローンの残債が残ってしまうケースもあり、債務者は引き続き返済義務を負う可能性があります。
また、競売は公に進められるため、周囲にも知られるリスクがあり、精神的負担も大きくなります。このような事態を避けるために、早期の対策が重要です。
任意売却とは？
任意売却は、競売を回避するための方法です。債権者（金融機関）と合意のもと、市場価格に近い価格で不動産を売却することで、競売よりも高値で売却できる可能性があります。任意売却のメリットは、財産価値の大幅な目減りを防げる点にあります。また、交渉によっては、残債務の一部が免除されることもあります。
任意売却の流れ
任意売却の手続きは以下のステップで進行します。
1.専門家への相談
住宅ローン問題や任意売却に詳しい不動産会社や専門家に相談します。物件の査定を行い、売却可能な価格を提示してもらいます。
2.金融機関との交渉
任意売却を進めるには、金融機関の同意が必要です。専門家が債権者と交渉し、売却条件を取り決めます。
3.売却活動の実施
市場価格を考慮した売却活動が行われ、購入希望者を募ります。
4.売却代金による精算
売却が成立すると、代金から住宅ローンの残債が支払われます。残債が残った場合は、引き続き返済条件の交渉を行います。
相続と任意売却
相続財産に不動産が含まれている場合、住宅ローンの返済が課題となることがあります。相続人がローン返済を継続できない場合や、相続財産を整理する必要がある場合、任意売却が有効な解決策となります。
任意売却によって、不動産の価値を最大限に引き出し、相続人間での財産トラブルを防ぐことが可能です。また、売却によって得られた代金を他の相続財産と合わせて分配することで、公平な財産整理を実現することが可能です。
任意売却を成功させるために
任意売却を成功させるためには、迅速な行動が求められます。住宅ローン延滞が長期化すると、競売手続きが進行し、任意売却の選択ができなくなる恐れもあります。また、任意売却には金融機関の合意が必要となりますので、全てのケースで実施できるわけではありません。任意売却に詳しい専門家に相談し、適切な手続きを進めましょう。
まとめ
相続財産に含まれる不動産を守るためには、住宅ローン問題への早めの対応が不可欠になります。競売による財産価値の大幅な低下を避けるためには、任意売却は有効な選択肢となるので、活用を検討しましょう。
住宅ローンや不動産問題がある場合、専門家への早めの相談をおすすめします。